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アラン・デュカス 『Nature』

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アラン・デュカス 『Nature』を購入した。アラン・デュカスによるシンプルなフレンチ料理のレシピ集である。しかし、これはただの料理本とは異なる。愛情にあふれた料理本である。

まず、表紙が気に入った。空気層の含まれたようなフワッとした感触の装丁になっていて、本を手に持ったときに柔らかさが感じられる。350ページを超える厚い本であるから、普通の装丁では、重々しく無骨になってしまうだろうが、表紙の感触がそうした感覚をおこさせず、やさしい本に感じるようにデザインされている。

レシピについては言うことはない。「体によい」ということをコンセプトにしていることもあるが、バターの効いた料理は見当たらない。オリーブオイルも大さじ2杯までとアラン・デュカスがのべているように、普通のフレンチとは異なる。これをフランス料理と呼ぶことは正確ではない。すべての料理は国名で記されるよりも、その地方名、または、シェフの名で命名されることが正しいであろう。これは、アラン・デュカス(そして、レシピ製作者として名前のあがるポール・ネラとクリストフ・サンターニュ)の料理と呼んだ方がよい。

アラン・デュカスの生まれはフランスのランド地方。フランスの南西部。スペインの国境に近い。つまり、バスク料理あるいはスペイン料理の影響を受けている地域と推測される。また、彼はプロヴァンス料理から多くを学んだという。こうした背景から、彼の料理は、フランスという枠におさめるのではなく、地中海料理という枠組みでとらえることの方が適切なのかもしれない。

料理を大きくのせた写真とレシピが見開きで構成されているのもよいし、その片隅にアラン・デュカスとポール・ネラのアドヴァイスが何気なくそえられているのもよい。さらにこれだけのボリュームの本が、税抜きで2800円という低価格であることにも驚いた。

わたしは、個人的に未来の日本料理はこのレシピ集の中にある、と思いたい。
by kurarc | 2014-10-20 20:28 | gastronomy