下げ振りと重力

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建築は重力という垂直性とそれと対立するような水平性が基本となる。水平性は床、あるいは梁として人間ほか様々な物質を支持するために必要となる。そうはいっても、最も大切なのは垂直性を維持することである。そうしなければ、建築物だけでなく、建築内の様々な装置がうまく作動しなくなってしまう。たとえば、建具は枠が垂直でなければ、動かないし、動いたとしてもいずれ狂いが生じ、使い物にならなくなってしまう。 

このように、我々は常に重力の影響をうける、ということは自明のことだが、その重力を目に見えるかたちでとらえることができる最も身近な道具が「下げ振り」である。こうした道具を使うのはもしかしたら建築、あるいは測量士といった職業のものだけかもしれない。原理はいたって簡単で、重りに糸がついていて、それを重力の働きのおもむくままにたらすだけ。そのおもりが静止したことを見計らって垂直性を確かめる。

我々建築に携わるものは、柱をたてては下げ振りを使い、建具を取り付けても同様にして、常に垂直性を確かめていく。建築にとって垂直とは、重力に従うこと、重力の方向を確認することに他ならない。

下げ振りという道具がいつから使われるようになったのか知らないが、重力というものの概念がないときから使用していたことは間違いないだろう。このことは、概念というものが先行するのではなく、あとからついてくるものであるという事例の一つだろう。
 
by kurarc | 2014-12-16 22:30 | archi-works