映画『フェリーニのローマ』をみる

b0074416_21121987.jpg

よく知られているように「ROMA」という文字を逆さまに書くと「AMOR」となり、ポルトガル語で「愛」を意味する文字となる。(イタリア語ではAMORE)ローマという都市はいわば愛を鏡像のようにもちあわせた都市であり、愛さずにはいられない都市の一つと言えるだろう。

フェリーニの映画『フェリーニのローマ』は、そのフェリーニの個人的なローマへの愛情を転倒した映画である。そこに現れるのは、猥雑な言葉、大道芸人、ボードビルショー、娼婦たち、劇場としての街路、ハイウェーを疾走する馬やリヤカー、交通事故現場、聖職者たちのファッションショー・・・etc.フェリーニの中に立ち上る記憶と幻想、現実が重なり合わされ、シュルレアリズムの動画をみているような感覚を味わうことになる。

作品という閉じた世界を打ち破り、美しいもの、美しい世界を嘲笑するかのような視線。ローマの真の姿を描くことはフェリーニにとって「美」ではなく、むしろ「醜」であった。それがフェリーニの経験したローマの現実であった。「愛」のかたちもいつの間にか変わってしまった、とフェリーニは嘆くが、それは悲観的な意味ではない。変わったこともローマであり、その変化をローマはまた飲み込んでしまうだろう。ファシズム期のローマ、ヒッピーたちがたむろするローマ、地下鉄の工事が進められる地底のローマ、といった様々な時代、場所を対比させながら描かれるローマの世界は、まさに圧巻。

この映画を最後までみることができたものは、映画の世界から二度と離れることはできないだろう。
[PR]
by kurarc | 2014-12-29 21:04 | cinema