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"ROMA"からはじまる一年 「飛ぶ鳥」と「歩く鳥」の視点

年末からローマについての本、映画などを渉猟しはじめた。河島英昭著『ローマ散策』は新書ながら、ローマという都市と建築について多くのページを割いていて、ローマの都市の形成過程や深層がよく理解できるように編集された名著であった。

その河島氏の著書に紹介されている『都市ローマ』(P.グリマル著、F.クイリチ写真、岩波書店)を図書館より借りて、パラパラめくりながら正月を過ごしている。まずはクイリチ(クィーリチ)の写真を楽しむ。クイリチは映画『カオス・シチリア物語』のカメラワークを担当した。その映画の中で、鈴をつけたカラスが空中を舞う視点が映画の中で意識的に使用されている。

クリイチの撮影したローマの空中と地上からの視点を、河島氏は「飛ぶ鳥」と「歩く鳥」の視点という表現で記述している。「飛ぶ鳥」という表現は「鳥瞰」という言葉にもあわられているようによくなじむが、「歩く鳥」という表現に心ひかれた。人間の歩く視点はおよそ1.5メートルだが、そうした視点だけではローマは理解できないと言えそうである。ちょうど人間がはって見上げるような地上0.3メートルくらいの視点まで視界を降下させることによって、ローマの地表近くの手触りや新しい視野が開けてくる。

ローマという都市モデルの一つといえる世界からみえるのは、都市という不可思議な世界と都市の運命のような動態である。都市とは「生きものである人間」によって生かされ、破壊される構築物であることがよく理解できる。ローマを知ることはわたしの生きる都市、東京を知る手がかりにもなるのである。
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by kurarc | 2015-01-02 10:47 | books