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「STAP細胞はあります」から考える文法

昨年、最も印象に残った事件は「STAP細胞」の一件であった。いまだに真相は謎に包まれている。記者会見で印象に残った言葉に、「STAP細胞はあります」と発言した言葉がある。

これは文法的には直説法による言い方で、事実を言う「法」であり、ポルトガル語で「modoモード」と言う。つまり、補足すれば「STAP細胞が存在することは事実です」という意味と受け取られる。

たとえば、わたしであれば、疑義が出ての記者会見であるのだから、以下のように言うだろう。

「STAP細胞はあると思います。」

これは、接続法による言い方である。この意味は「STAP細胞は存在すると思われますが、今後の実験でどのような結果になるのかはわかりません」という意味までを含めることができる。つまり、・・・思う、という言い方は個人的な考えであり、考えを述べたという以外の意味はなく、事実を主張していることにもならないからである。

ポルトガル語を学び始めた頃、大きく2つのモードがポルトガル語をはじめとするロマンス諸語にあること(それに命令法などが加えられる)を意識してから、ポルトガル語がよく理解できるようになった。

小学生や中学生の頃、よく教師から「考察が大事だ」ということを教えられたが、これはある一面では正しくない。考察することとは「考え」であって、「事実」ではないからである。考えることと事実の往復運動こそ大切であって、今回のSTAP細胞の一件で事実をつかめなかったことをみればよくわかるように、それは科学の分野に限ったことではない。

わたしたちの話す言葉の大半は直説法によるが、たまに意見を述べるようなときには接続法になる。わたしがポルトガル語の教師であるならば、まず最初にこの「法」の概念について教えるだろう。大きいフレームをまず把握することが語学にとって最も大切なことであると思うからである。特に大人になってから語学を学び始めるときには。
by kurarc | 2015-01-03 12:35