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原作と映画の比較 『カオス・シチリア物語』

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今年はローマ、シチリアからはじまったことは以前のブログでふれた。映画ではやはり、『カオス・シチリア物語』からはじめることになりそうである。ちょうど、この映画の原作、ルイジ・ピランデッロ著『カオス・シチリア物語 ピランデッロ短編集』(白崎容子、尾河直也 訳)が2012年、白水社から出版されている。(上写真)

通常、原作を読んだ後に映画をみる、ということは稀である。著名な文学などの映画化でないかぎり、映画が先の場合が大半である。海外のものであればなおさらである。映画『カオス・シチリア物語』は、ピランデッロの『一年間の物語』という短編から選択されて、撮影されたオムニバス映画である。

日本での公開から30年が経つ映画であるが、30年も経って原作をやっと日本語でじっくり味わうことができるようになった。映画は原作とかなり異なることも訳者の解説からわかった。どのような変化、演出があるのか、まずはその辺りから比較していきたいと思う。

最も気になったのは、映画のエピローグ「母との対話」である。映画の中で、この最後の一話が最も印象に残るものだけに、原作はどのような展開なのか気になるところである。そして、母(ピランデッロの母、映画では亡霊として描かれる)が息子(ピランデッロ)に語る魅力的な台詞は、この翻訳の最後に記されていた。

「ものごとを、それをもう見なくなった人たちの目でも、見るようにしてごらん!きっと辛いだろうけれどね、おまえ。でもそうすれば、目にするものが、もっと神々しく、もっと美しく見えてくるはずだよ」

この言葉を理解するために、映画と原作をそれぞれ楽しみたいのである。
by kurarc | 2015-01-07 23:15 | books