つくる人と使う人

ある事務所ビルの引き渡しに立ち会った。来月からこの事務所ビルを使用する会社の家具等の搬入が慌ただしく行われはじめた。

つくる側の苦労がこの人たちにはわかるのだろうか、とふと思った。使う人、建てる人があり、われわれのような設計業や職人たちの生活は成り立っている訳だが、その間に大きな溝がある気がしてならない。

すべてがレディーメイドの商品、製品になりつつある現在、何かを生み出し、つくることの苦しさ、楽しさは忘れ去られてしまっているのではないか。

考えてみてほしいことは、目の前にみえるすべてのものは、何らかのかたちでつくる人がいるから存在しているのだということ。野菜のような農作物から、自動車、飛行機、電車や道路、橋、家具、そして大小の建築物etc.

そして、つくる人は経済的に恵まれているのかというと、全く逆であるということ。建築の職人であればむしろ社会の底辺の人間にみられていることが多いのではないだろうか。しかし、反論はもちろんあるだろう。会社の中で働く人間の苦労がわかるのかと。

できれば、つくる人と使う人がお互いに尊敬しあえる関係が築かれることが理想なのだが。それにしても、つくる行為が血のにじむような毎日の積み重ねであることを少しでも多くの人に知ってもらいたいものである。スポーツ選手のような人たちのトレーニングだけがハードなのでは決してないということを。
by kurarc | 2015-01-30 22:19 | archi-works