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墨出し

建築の現場では、設計図通りに建築物をつくるために、ベースとなるコンクリートなどに墨を出していく。今でも墨つぼの中に糸を通して、コンクリートに一つ一つ墨の線を描いていく。近年、レーザー光による墨出し機械がつくられ、その技術と精度は格段に飛躍した。

描くのは、壁の芯や、柱の芯、壁の厚み、柱の外形、金物の位置など様々である。建築をつくることは当たり前のことだが、人間が入ることができる容器となるわけだから、必然的にかなりの大きさになる。墨を出すことは、原寸の図面を描くことであり、測量することでもある。

自らつくりだすものを測量しながら確かめていく行為の連続、それが建築をつくることとも言える。すでにあるものを計測するのではなく、頭の中にあるものを外化し、それを計測していくという、ある意味で特殊な行為と言えるだろう。たとえば、車のように人間が入る容器でも同じことが言える。車の場合は、原寸の模型をつくることが重要となる。

墨出しという仕事は、したがって建築において非常に重要な位置を占める。墨が間違っていては、間違った建築物になってしまい、あとで壊さなければならなくなるからである。下げ振りにより垂直を出すこと、水平面に墨を描いていくこと、という2つの行為は、建築がつくられはじめた太古の昔から全く変化のない根源的な作業なのである。
by kurarc | 2015-02-12 20:24 | archi-works