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エリック・ロメール監督 映画『獅子座』(1959)をみる

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エリック・ロメール監督の初期の傑作。ヌーヴェルヴァーグ映画の中ではあまり知られていない映画の一つかもしれない。

パリに暮らす自称作曲家に焦点をあてた映画。パリにはこのような自称作曲家が数多くいそうな気にさせる。少しの才能はあるのだろうが、働くことが大嫌い。遺産相続ができると喜んでいたのもつかの間、相続ができず、パリの街を彷徨い、最後は乞食とともに物乞いまでするようになるが、その結末は・・・

中盤以降、パリの街を彷徨う作曲家の描き方が秀逸であり、その彷徨とバルトークのような映画音楽(現代音楽)との交錯が斬新であった。単にパリを歩いているだけなのだが、その中に小さな仕掛けが所々にあり、全く退屈しない。圧巻は、乞食との対話、乞食の芸の描写である。ヨーロッパ、特にカトリック圏は、現在でも乞食が堂々と物乞いをする姿がみられる。その中でも、大道芸をやることで物乞いをする乞食もいる。乞食との彷徨、対話はこの映画の見せ場といってよい重要なシーン。

この映画は初めてみたが、わたしが知るロメール映画とはかなり異なる。しかし、獅子座という占星術をなにげなくシナリオに挿入させることと、『緑の光線』のような自然現象をなにげなく映画に挿入させることの感覚はロメールらしい。ロメール映画の変化がどのような経緯を辿ったのか、これから知るのが楽しみである。
by kurarc | 2015-03-08 09:07 | cinema