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B 612

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サンテグジュペリの『星の王子さま』(池澤夏樹新訳)を久しぶりに読み返す。わたしくらいの歳になって読み返すと、これは、童話でもなければ小説でもない、何と命名してよいかわからない分類不可能な作品であることがみえてくる。池澤氏はこの本を詩としてとらえる、と言う見方を後書きにかわる「訳者として」という文章で記している。

それにしても、何度読んでも興味のつきない本である。池澤も言うように、この本の中で「ものは心で見る。肝心なことは目では見えない」といった非常に気になるフレーズが繰り返されるが、これをもってこの本の内容を要約してはならないだろう。それは、この本の広がりを矮小化するだけである。この本を安易に理解しようとすることも避けなければならないし、正直、よくわからないことも多い。

文章にそえられたサンテグジュペリの魅力的な挿絵が際立っていることも見逃せない。王子さまは最後に木が倒れるように静かに沙漠に倒れ、消えてしまう。それが「ぼく」との別れになるが、その「ぼく」は以後、星をみては王子さまを思い出し、微笑むことができるようになる。

わたしが現在もっともこの本で注視するのは、ものの見方、ということだろうか。人は同じものをみているのに様々な見方をする。王子さまはその見方のなかで、最も大切なものをみるように訴えて、地球を去っていったのではあるまいか?

ブログタイトルの「B 612」は、「ぼく」が考える星の王子さまが住んでいた惑星の名前である。フランス語だと「ベシドゥーズ」になるという。

*『星の王子さま』は、この冬に映画化が決定しているという。

*『星の王子さま』は、様々な訳者が存在するし、様々な評論、哲学に到るまでが生み出されている。一度、これらを比較してみたい衝動にかられる。
by kurarc | 2015-04-05 21:10 | books