クレズマーとシュピルマン

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クレズマー(広義に東欧ユダヤ人のポピュラー音楽)に関する書物をながめていると、以前、このブログで紹介した映画『戦場のピアニスト』のモデルとなったピアニスト、シュピルマンの話が書かれていた。

「シュピルマン」ではなく「シュピールマン」(Spielmann)と「ピー」という風に発音される場合、中世のドイツでは「職業としての芸や特に音楽演奏により他人を楽しませるもの」という意味をもち、神聖ローマ帝国時代の「道化」の後継者であり、あらゆる客層に娯楽をもたらす「旅芸人」であったことがあのグリムの辞書に書かれているらしい。(『クレズマーの文化史』黒田晴之著)

映画の中で、ドイツ人将校がシュピルマンという名前を聞いて、「シュピルマン?ピアニストらしい名前ですね。」という台詞。この台詞は意味深長であるということであり、ピアニストではなく「音楽家らしい名前ですね」、という台詞の方が好ましかったということであろう。旅芸人の使用する楽器は携帯が可能な楽器が主であり、クレズマーでは特にヴァイオリンがもっともポピュラーだからである。

シュピルマンの自伝には、彼の父がヴァイオリンを演奏したことが書かれているというから、このクレズマーを演奏していた可能性は十分考えられるということになる。(映画の中でもヴァイオリンはお金を隠す場所として登場した)

わたしがユダヤ人を意識したのは、小岸昭氏の著書『スペインを追われたユダヤ人 マラーノの足跡を訪ねて』の影響やポルトガルでシナゴーグを見学したときからである。さらに、最近ブログでたびたび取り上げるポーランド映画の中に登場するユダヤ人、ユダヤ系の人々の影響も大きい。パリで遭遇したユダヤ人なども印象に残っている。

ユダヤ人、ユダヤ文化との出会いはなにか宿命のようなものを感じるのである。
by kurarc | 2015-05-27 21:36 | music