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古本屋

昨日、とある要件で、急遽、鎌倉に出かけることになった。少し早く着いたこともあり、時間をつぶすために、鎌倉の公文堂書店に立ち寄る。

この書店は、由比ケ浜通りに面した古本屋である。わたしは、見知らぬ街に出かけたりすると、目に付く古本屋をのぞくことにしている。古本屋に入ると、その街の人の脳みその中をのぞくことができるからである。古本屋のレベルの高い街は、その街の知的レベルも高い場合が多い気がする。

鎌倉の古本屋である公文堂書店の特色は、鎌倉に関する古本が多いということと、様々な分野の古本が比較的よくそろっていることである。わたしが鎌倉に住んでいる頃見かけた、神奈川県立近代美術館鎌倉館で開催されたピラネージ版画展のカタログ(1977年開催)がいまだに売れずにおいてあった。この展覧会のカタログは、以前ブログにも書いたが、わたしが建築に興味を持つきっかけつくってくれたものであり、わたしの宝物の一つである。

昨日は、前田愛著の『幻景の明治』(岩波書店)を購入した。「パノラマと『舞姫』」という章が目に入ったからである。これは、鴎外の小説『舞姫』は、鴎外のパノラマ経験が背景にあることを分析した小論である。ベンヤミンの『パリ 19世紀の首都』との比較あり、バルザックの小説との関連ありと、新しい知というものが、いかに当時の技術的知覚と密接に関わっていたのかを知ることができる。

公文堂は良い古本屋であると思うが、古本の単価が高いこと、書店内の整理が行き届いていないことなどが難点であろうか。とはいえ、鎌倉にずっと残ってほしい古本屋である。少し高いと思って購入するのをためらったポーランド語辞典を、今度行ったときには購入するかもしれない。
by kurarc | 2015-06-07 22:33 | 鎌倉-Kamakura