某企業本社ビルの竣工

およそ1年半にわたりお手伝いしてきた某企業本社ビル(地下2階-地上10階建て、高さおよそ40m、延べ床面積およそ20,000㎡)のお手伝いが終わり、12日に無事竣工した。わたしも竣工式のお手伝いをするはずであったが、前日から熱が出始め、とうとうダウン。しかし、久しぶりに良い汗をかいた仕事であった。

個人事務所では経験できない様々な工法を経験できたこと、それを現場で間近に学べたことは大きな成果であった。一日あたり400〜500人という職人たちと共にこのビルを建設してきたが、職人たちの並々ならぬ力を肌で感じることができたことも貴重な経験であった。

単にテナントを募集するためだけのオフィスビルと異なり、社運をかけたビルであった、ということもあり、その建築のコンセプトには力が入っていた。日本で初めて、ということをいくつか挑戦しているが、その成果は今後このビルが使用されていくにつれ、評価が定まっていくことだろう。

現代建築の最前線の施工を間近で経験することは、われわれのような小規模の事務所ではなかなかできない。そして、この現場でやられていることは、大学の授業のようなヤワな空間の中でも学ぶことはできない。現場に最近は女性も増えてきたが、やはり、建築は男の心意気がなくては成り立たない仕事である。こうした現場の様子を誰にも知ってもらいたいとは思わないが、想像を絶する世界であることだけは確かである。

建築とは、世界を一度、混沌の状態に引き戻し、そこから新たな秩序を構築して行くプロセスであることが身にしみて理解できた。混沌とした世界を経験してきたもの(技術者、職人たち)が最後にたどり着くのが、秩序だった静なる空間である。動から静への劇的なドラマといっていい。

建築はやはり、おもしろい。

by kurarc | 2015-06-14 20:36 | archi-works