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宮沢賢治著 『注文の多い料理店』

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空いた時間にiPhoneの中に保存してある宮沢賢治の『注文の多い料理店』を読んだ。もう何年ぶり、いや、何十年ぶりのことである。

『星の王子さま』もそうだが、この「大人のための童話」は、やはりいつになっても興味深い話である。子供のときには、この童話が、大人のための童話などとは決して気づかないのだろうが、大人になってから読むと、宮沢賢治の言わんとしていることがよくわかり、余韻にひたることができる。しかし、この童話を大人のための、と決めつけてしまうことも正しくはないのだろう。『星の王子さま』同様、それはどのような年代のものにも普遍性をもっている。

『注文の多い料理店』を今読むと感じるのは、東京人の傲慢さ、東京人へのアイロニー、自然の軽視への批判であろう。東京からイギリスかぶれした紳士が山へ狩りにでかけるが、思ったような獲物が見当たらず、ぶつぶつ不満をもらす。そうしているうちに、例の西洋料理店「山猫軒」という看板をみつける。その中へ入り、その注文の通り指示に従っていると、それは、自分たちを料理して食べてしまおうとする企みであることに気づく、というあらすじである。宮沢がやさしいのは、男達に救いを与えたことだろう。本当であれば、食べられることまで描写してもよさそうだが、山猫軒は夢の中の出来事のように消えてしまう。

この童話はどこかの電気をつくっている企業の方々に是非読んでもらいたいものである。彼らの顔は、この童話で言うように、紙くずのようになって、もとにもどらなくなっているはずだが・・・
by kurarc | 2015-06-19 20:58 | books