声 海の詩歌(オード)

昨晩、フェルナンド・ペソーア原作の公演、『海の詩歌(オード)』へ行く。

ペソーアの詩を暗唱しながら、その世界を演じたディオゴ・インファンテ氏の熱演と、その演技にギター一本で音楽を奏でたジョアン・ジル氏に再び拍手を送りたい。

まずひきつけられたのは、ディオゴ・インファンテ氏の声であった。男性の声を美しいと普段思うことはないが、シアターコクーン内に朗々と響き渡るインファンテ氏の声は美しく、様々な舞台をこなしているという彼の力を見事に証明していた。

ジョアン・ジル氏のギター音楽も、最小限の音、和声を選択し、ペソーアの詩の世界をサポートしていた。

詩とギターという組み合わせがこれほど新鮮な世界を構築できることに驚くと共に、あらゆるものを感覚しようとするペソーアの魂の世界を表現するには、こうした簡素な演出が最も効果的であることがよく理解できた。

昨日の公演は、ポルトガル世界の最良の表現といってよいだろうし、それを体験することができたことに感謝したい。

*ペソーアの詩の中で、「volante(ヴォランテゥ、ブラジル発音でヴォランチ)」という言葉が、場面の切り替わり箇所でたびたび登場する。サッカー用語と同じヴォランチである。この詩では「はずみ車」と訳されている。原義は、「飛ぶ、浮遊する、移動しやすい、彷徨う」といった意味の形容詞、「ハンドル、はずみ車」といった名詞。詩の中で使われると新鮮に響く。
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by kurarc | 2015-07-01 10:32 | Portugal