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格変化をどう乗り切るか

ドイツ語やポーランド語には格変化という厄介な屈折語特有の概念が残っている。英語やロマンス諸語ではほぼ消滅した概念が、いまだに残り、学習者を困らせる。(つまり、このような言語を学習すると、フランス語などのロマンス諸語が簡単に見えてくるというメリットがある)

通常、入門者を対象とした語学学習書であると、主格「・・・が」、生格「・・・の」など、日本語の格助詞にあたる語がないために、語形変化する、といった説明のみが書かれている。

これは、10代で学ぶ学習者にとっては、このくらいでよいのだが、わたしのように50歳を過ぎてから語学を学ぼうとする人間には物足りない。そもそも、ポーランド語にはなぜ格変化が残ったのかとか、格という概念は一体なんなのかといった根源的なことまで説明してもらわないと、ただ暗記するだけに終わってしまう。暗記力はわたしのような歳になるとあてにできないので、その欠点を補う必要が出てくる。

わたしはその欠点を、理解力で補うのが中年以降の学習者には必要になってくる、と思っている。これはすべての分野に言えることだと思う。だから、中年を過ぎた人に何かを教えようとする先生方は、そのことをよく心得ていなければならない。さらに、暗記力が衰えているのだから、なるべく短時間に理解できるように説明しなければならない。語学の文法であれば、一日2時間〜3時間学習するとして、できれば1週間くらい(つまり15時間から20時間程度で)ですべてを終わらせるくらいがベストだろう。

ポーランド語の学習書をいくつか調べているうちに、上に述べたような事柄について解説してくれている学習書を発見した。『ポーランド語会話・文法』(ゴジェフスカ・ヨアンナ著、ユーラシアセンター共編、ベスト社)である。

たとえば、生格という概念を、古典ギリシャ語、古典ラテン語から説明し、「全体と部分の関係を表す」のが生格である、といったような説明がなされている。時間というものがなぜ生格で表されるようになったかが、時間の全体とその分割としての日付という事柄から明らかにされる。さらに、印欧祖語の原型をとどめていると言われるリトアニア語などと比較するようなアドヴァイスまで書かれている。

こうしたことは、10代の少年少女達には煩わしい余計な説明に過ぎないのだろうが(10代で上のような説明に興味をもったなら、言語学者になった方がよい)、われわれのような中年、年長者にはかえって記憶に残る解説となってくれる。これらを踏まえた上で、最後は暗記することになるが、それは、ただ暗記する回路とは異なる「大人の暗記の仕方、作法」になるのである。
by kurarc | 2015-07-29 22:26 | Poland(ポーランド)
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