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カンスタル社のトランペット F.Besson "MEHA " Bbモデル

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現在使用しているトランペットは、アメリカ、カンスタル社のトランペット”F.Besson MEHA Bb”というモデルである。現在、プロのトランペット奏者の大半が使用するBach(バック)のトランペットは、実は戦前、F.Besson社でつくられたトランペットがその原型となっているという。

ジグマンド・カンスタルは1980年代に"MEHA"を復刻し、ブージーアンドホークス社によって製作された。わたしは、この中古品を手に入れて使用している。つまり、およそ30年前に製造されたトランペットということになる。

インターネット上で”MEHAモデル”について調べると、いろいろ興味深い内容に行き着く。わたしの使用するトランペットも、第二次大戦でナチス・ドイツのフランス占領時、F.Besson社の従業員によって救出されたオリジナルの心金によって製作されたものであるという。

楽器の歴史には、おもいもかけない物語が隠されている。"MEHA"について、ネット上でもそれほど多くの情報が手に入る訳ではない。日本人の所有者の間でも正確な情報を共有しているという訳でもないようだ。

建築においても、戦後さまざまな軍事品の金属を再利用して、建築に使用した歴史があるが、トランペットにおいても、戦闘によって荒廃した地域から回収された追撃砲弾の薬きょう(銃砲の発射薬を詰める容器)が使用された、という。こうした爆撃で受けた熱がもたらした金属変化の影響で、F.Bessonのトランペットに独特の音色を生み出したのだという。

いつか、オリジナルの”MEHA"(上写真、杉山正氏のHPより借用、下がオリジナルBbモデル)を手にして、その音色にふれてみたいものである。

*このトランペットを購入したきっかけは、Bachのトランペットより吹きやすいものを入手したいと楽器店を訪れ、偶然に中古品として在庫していた"MEHA"を手にしたことによる。上のような歴史をそのときに知っていた訳ではない。このトランペットを握った瞬間の感触がBachにはないものだったことが購入することを決定した大きな要因の一つである。もちろん、音色もよかった。握った感じがしなやかであり、それはBachのごつい感じとは異なる。デザイン、つくりが繊細で、女性的なトランペットという印象である。中古であるから、価格も高価ではない。ヤマハの新品のトランペットのおよそ半額程度であった。

*このトランペットに巡り会ったことから、わたしは、トランペットの定番といわれる"Bach"から遠ざかる(冷静に吟味できる)結果となった。マウスピースにしても、いまやバックのものは使用していない。(このトランペットを購入する前にすでにシルキーに変えていた)

*こうして、トランペットやマウスピースを自ら選定できる能力が少しずつ養われてきたのだと思う。つまり、よく初心者に向かって、マウスピースはまずはバックの5Cか7Cを使うように指導するような教師の言い方は丁寧な言い方とは言えない。
わたしならこのように言うだろう。「はじめはバックの5Cか6C、7C、10 1/2C、またはこれと同等のマウスピースを試して、最もよいと思われるマウスピースを選びなさい。ある程度、このマウスピースでトランペットが吹けるようになった段階で、自分の目指す音、音楽を頭に描きながら、可能な限り、他社のマウスピースを試して、自分にもっともふさわしいと思われるマウスピースを選び直しなさい。あなたが、次のマウスピースを一つ選定できたならば、あなたのトランペットの演奏は一歩成長した証しなのです。」と。
by kurarc | 2015-10-03 22:29