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椅子に長時間座ることの害とデザイン

昨日、NHKで椅子に長時間座ることは、身体の代謝にはマイナスになる、簡単言えば、健康を害する可能性がある、といったような内容の番組が放映された。すでに、オーストラリアの小学校では、立って授業をやるといったプログラムも取り入れられているという。また、大手企業のオフィスでは、机が上下に動く電動式の机に入れ替え、立ってパソコンをつかえるように工夫している映像が映し出されていた。

わたしもこのブログで4年ほど前から、立ってパソコンを使うといった内容の投稿をたびたび行ってきた。オーストラリアの小学校に限らず、バーのように中腰で座る姿勢で机を使うことは様々なデザインスクールですでに行われている。そうすることによって、議論が活発になるというデータは以前から既知の事実としてあった。

こうした事実をつきつけられたとき、デザイナーたちはどのような立場をとるべきなのか?

1)椅子自体が悪い訳ではない。「長時間座ること」が身体に悪いのであるから、椅子のデザイン自体は今までの通り変化させる必要はない。

2)机の高さとの関係も踏まえ、椅子のデザインを根本的に変えるべきである。

大きくは、上の二つの意見に分かれるのではないだろうか。わたしはこの二つの立場はどちらも正しいと思う。どちらの立場をとるのか、あるいは二つの立場をとる場合もあろう。デザイナーは自分が意欲をもって取り組める方を選択することになるだろう。

わたしは、上の二つのうちどちらかといえば、2)の立場を取りたいと思う。机の高さをフレキシブルにできることに興味はある。しかし、テレビで放映されていたように電気を使って上下させるようなデザインは行わないだろう。たとえば、ハンドルをくるくると回して上下させるようなローテクな机をデザインする方に向かうだろう。

長時間座ることが身体に悪いという事実は、椅子や机の再定義を迫られている、と考えられる。だから、椅子が今のままでよい、と考えるのは巨匠達だけでよい。この問題は、もちろんデザインの問題だけではなく、労働のスタイルを含めて考えなければならない。大袈裟に言えば、モダンデザインの机や椅子の時代は終わり(もちろん、続きながら終わるのであるが)、新しい机と椅子の関係を模索する時代がはじまったことになる。
by kurarc | 2015-11-12 21:51 | design