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3.11以後の東京 建築家T.I.の東京批判

ユリイカ(2013年3月増刊号)の『世界マンガ体系』という特集の中に、様々な座談会が収録されている。その中に、有名建築家T.I.が登場していて、ここでも東京批判を述べている。

震災後、東北に通うかたわら、その活きたコミュニティを経験するにつれ、東京は絶望的に思えてくる、というのである。3.11以後、特に東京は地方の敵として扱われるようになった。東京批判はいっそうメディアの中に容易に受け入れやすいようになった。地方移住がさかんに取り上げられるようになったのも、東京批判のイデオロギーと無関係とは思えない。

この場合、T.I.が言う「東京」とは一体どこを指すのだろう。彼の言葉から、彼の東京は、高速道路が交差し、超高層ビルが建ち並ぶ東京であり、富士見坂と言われても富士山のみえない東京である。しかし、東京はそのような場所だけではない。

東京をもっと微細に見る必要があると思うのである。たとえば、わたしの地元で言えば、国分寺崖線に残る武蔵野らしい自然であるとか、玉川上水沿の小径であるとかである。彼の中にこのような東京の風景はみえていないようである。あるいは見えていても、なにも感じないのであろうか。そこが問題だ。

東京にはわたしのようにそこで生まれたものから、地方から住み着いた様々な人々が暮らす。そういう人たちと共にコミュニティをつくることが必要なのである。彼はそのような活動をしてきたのであろうか。そうした活動をしてきて、絶望したのならまだ許されるが。有名建築家の設計したマンションに住むと聞くが、彼はそのマンションの住人として他の住人とコミュニケーションをとっているのだろうか。多分していないだろう。そういうことをしないで自分の住む街を簡単に批判してほしくないのである。
by kurarc | 2015-12-13 09:25