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宮尾大輔著 『映画はネコである』を読む

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宮尾大輔著の『映画はネコである』は、このタイトルだけをみるとふざけた印象を受けるが、大真面目な映画本である。

宮尾氏自身も大のネコ好きということもあるが、「ネコ」をキーワードに映画を読み解いている。わたしも以前から映画の中に登場するネコや犬などが気になっていたが、そうしたネコたちは実は映画の主題にも重なっているのである。

有名どころでは、映画『ティファニーで朝食を』だろう。この本にも最初に取り上げられているが、この映画では、ネコが俳優たちと同等に扱われている。それは最初のスクリーンのキャスト紹介で、「CAT」という名前でヘップバーンらの俳優たちを紹介する映像の中に登場しているのである。

この映画は、宮尾氏も言うように、ヘップバーン(ホーリー)はネコのように演技し、相手役のポールは犬のように演技している。映画のコンセプト自体がネコと犬を意識してつくられているのである。その証拠に、宮尾氏は、ホーリーとポールが100円ショップに入り、万引きの真似ごとをする場面で、店からこっそりと出て行くとき、ホーリーはネコの、ポールは犬のお面を被っていることを指摘しているetc.。

この本は、この『ティファニーで朝食を』の捉え方を知るだけでも十分もとがとれるが、そのなかで、ハリウッド映画の手法の解説等、シネマ・スタディーズの書物にもなっている秀逸な内容の新書である。
by kurarc | 2015-12-24 23:18 | books