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ノーマン・フォスター 「都市と建築のイノベーション」

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森美術館でノーマン・フォスターの建築展、「都市と建築のイノベーション」と題する展覧会が催されている。今日はその企画の一貫として、同タイトルでトークセッションが催された。出演者はフォスターの事務所の総合責任者の一人、デヴィッド・ネルソン氏と難波和彦氏。二人のフォスター建築論と対談を聴講した。(あいにく、展覧会の方はチケット売り場から人が行列している状態であったため、見学せず、平日に出直すことにした)

フォスターの建築は、イギリスにあるルノーセンターやサックラーギャラリーなど、彼にとってはすでに初期の仕事といってよいものしか見学をしていないが、その後の仕事、特にベルリンのドイツ連邦議会新議事堂、ライヒスターク(上写真、TEAM21・HPより借用)による環境と公共性、民主的政治性を一つの建築に統合したような傑作を実際に見学してはいない。

お二人の明快な論議をお聴きし、あらためてフォスターの建築に興味をもつとともに、日本人の建築家にはいないような強靭な思想を建築に具現化するという信念をもった建築家としての有り様を知り、一からフォスターの建築について知りたくなった。わたしは彼を恵まれた環境で育った人物とばかり思っていたが、彼はその反対、貧しい家庭で育ち、そこからサーの称号を獲得するような建築家に成長した苦労人であった。

難波氏は香港の上海銀行のプロジェクトの1階ピロティーに実現された、誰もが利用できる公共的空間、つまり広場をつくったフォスターの建築を香港の都市の中から読み解くと共に、こうした空間の存在しない香港という都市の中で特別な空間であるということを力説された。

今日の講演の中でわかったのは、フォスターが独断でデザインを進めるようなタイプの人間ではなく、事務所の半分の人間は建築家以外のプロフェッションの人間であること、また、建築を利用するクライアントの意見を取り入れた建築をつくっていることを知り、ある意味で驚きであった。

残念ながらフォスターという建築家と肩をならべられるような建築家は日本には存在しない。彼の建築は真の意味で大人のつくる建築である。わたしもフォスターのような建築家のあり方を目標にしたいと思った。
by kurarc | 2016-01-17 23:08 | architects