武蔵野 「地景」の発見

先週の日曜日に都立中央図書館ヘ行ったことを前回のブログで書いた。この図書館の不満についても書いたが、もちろん、不満だけではなく、よい面も数多くある。まずは立地である。東京の中心の高台に位置していて、環境がよいこと。図書館自体は開架式と閉架式を併用したタイプの図書館であるから、気軽に本に接することができること、食堂、カフェがあり長居ができること・・・etc.

この図書館に行ったのはある建築家の作品集をみることが主目的であったが、もう二つの図書をみることが副題であった。『日本別荘史ノート ー リゾートの原型』と『技師たちがみた江戸・東京の風景』の二冊である。この二冊を購入しようと思っていて、これがどのような本かその内容を吟味したかったためである。

結論として、この二冊は両方とも良書であることがわかり、『技師たち・・・』の方は早速、古書のものを購入することに決めたが、『日本別荘・・・』の方は、以外と高価であるのでためらっているところである。

『技師たち・・・』の著者、笠原知子さんは、「明治・大正期の別荘敷地選定にみる国分寺崖線の風景文化論的研究」という研究業績があり、これをインターネット上でみつけ、その著作に興味をもったのである。『技師たち・・・』の本をパラパラとめくっていると、その中に、「地景」という魅力的な言葉を発見し、国分寺崖線帯のような景観を記述するときのキーワードとして使えそうだと思っている。この言葉に出会っただけでも、都立中央図書館に行った甲斐があったと思う。

「風景」という言葉のニュアンスとは異なる「地景」という言葉は、その土地の「地形」がもたらす「景観」という二つの意味を含み、極めて建築的(トポグラフィック)な言葉である。崖地に開けた武蔵野に築かれた別荘、あるいは、江戸期の下屋敷の流れをくむと予想される(わたしが勝手に予想、推定しているだけで、まだ確かめてはいない)建築の建て方が、この武蔵野地区にはかつて数多くみられた。武蔵野地区の大きな建築的特徴の一つに数えられるものであろうとわたしは思っている。

笠原氏の研究は、わたしが生まれ育った土地を新しい視点で眺めることに役に立ちそうなのである。こうした書物に気軽に巡り会えるのが、都立中央図書館である。わたしにとって、不満があるとはいえ、かけがえのないスペースであることもまた事実である。

*『日本別荘・・・』からは、いわゆる「別荘文化」が、平安の王朝時代から(少なくとも10世紀の頃から)あることを教えられた。「別荘」というと、近代のリゾート地の普及からはじまったものという偏見があったが、あの宇治の平等院鳳凰堂は、別荘をその起源としている、ということである。そういえば、「桂離宮」や「修学院離宮」も「別荘」なのである。あの源氏物語は、平安期の別荘文化と密接に関わっているとみることもできる?かもしれない。
by kurarc | 2016-02-29 22:19 | 武蔵野-Musashino