ハケ 下降する空間 滄浪泉園

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昼休みに武蔵小金井駅南口から徒歩10分程に位置する滄浪泉園を散策する。事務所から自転車でも行ける場所である。

滄浪泉園は、明治、大正期に三井銀行の役員、外交官、参議院議員を歴任した波多野承五郎の別荘があった土地である。現在は、都の特別緑地保全地区に指定され、「ハケ」という武蔵野の面影を残す滄浪泉園として一般に公開されている。

「ハケ」とは、古代多摩川の段丘の一つであり、およそ20メートルの崖下の砂礫層から湧き出る地下水を「ハケ」と呼んでいる。わたしの住む三鷹にもそうした「ハケ」地が存在するが、小金井市は、中央線近くに「ハケ」が隣接しているため、三鷹市民よりもその認知度は高いようで、小金井市の景観上の財産となっている。

「ハケ」地の特徴は、言うまでもなく、その崖であり斜面である。わたしの住む三鷹や武蔵野市周辺は、武蔵野台地という台地なのであり、南下するにしたがって、この崖地に出会うことになる。こうした経験を、以前このブログで「下降する空間」と呼んでみたのである。それは、わたしの記憶の中にある地景の記憶のようなものといってよい。

滄浪泉園は初めて訪れた。残念ながら、当時の別荘はなく、庭園も当初の三分の一に縮小したのだという。しかし、この小さな緑地には、貴重な野草も数多く残されている。敷地内に残る「ハケ」からは、現在も透明な水がしみ出し、池に流れ込んでいた。池は一見すると深緑色で不透明なのだが、近くに寄ると透明な水の中に鯉が泳いでいるのが観察できた。

こうした土地を訪れるのは、郷土の学習のためであり、武蔵野の見え隠れする地霊のような土地、空間を自分の意識の中に取り込む作業でもある。
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by kurarc | 2016-03-02 22:17 | 武蔵野-Musashino