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「シュルレアリスム」と「シュールレアリズム」

昨日紹介した巌谷國士著『シュルレアリスムとは何か』(筑摩書房)によって、わたしは恥ずかしながら、今までシュルレアリスムを全く誤解していたことに初めて気がついた。

巌谷氏の本の中にも書かれているが、日本では、シュルレアリスムをシュールレアリズムなどと記述する場合が多い。「シュールなレアリズム(リアリズム)」、「超現実」と訳されるが、これは、フランス語を全く理解していない記述であり、「シュール」や「レアリズム」などという英語もどきの記述をしたことが、間違いの元凶になったのである。

巌谷氏によれば、まず、フランス語の「sur シュル」とは、この場合、「超える」というニュアンスよりも「強度」とか「過剰」を意味する接頭語であり、「強度の現実」あるいは「現実以上の現実」と考えられるべきものであるという。国語辞典などに「写実的表現を否定し、作者の主観による自由な表象・・・」などと定義されていることは、全くシュルレアリスムの定義とは正反対であるということ。

シュルレアリスムは、そもそも主観を排して、客観を表に出した思想であり、こうした思想は、「自動記述」や「コラージュ」、「デペイズマン」といった思考実験、思考様式からもたらされたものだということ、つまり、現実を離れることではなくて、現実を深度をもち理解するための運動であったということである。

*シュルレアリスムは、少し前に書いたクレオールの文学、藝術、思想に大きな影響を及ぼした。エメ・セゼールやヴィフレード・ラム etc.
by kurarc | 2016-04-01 21:23 | books