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下降する地景 実篤公園 都市の中のオアシス

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今日は午前中に、地元で活躍する女性建築家Oさんと情報交換、意見交換などをした後、調布市文化会館たづくり1階展示室で開催されていた『ピンホール針穴写真展』を見学。作品を展示されていた遠藤志岐子さんが会場にいらしたので、その撮影方法などをお聞きする。

その後、つつじヶ丘へ移動して、実篤公園へ。ここは、武者小路実篤の住まいであった場所。実篤の死後、実篤の住宅や遺品が調布市に寄贈され、隣接する武者小路実篤記念館に保管されている。

今日は、実篤公園に残る実篤の住まいとその敷地を見学した。京王線つつじヶ丘駅から10分ほど歩くと、斜面に広大な緑地が現れる。今日は真夏のように暑かったこともあり、この緑地に近づくにつれて気温が低下してくることが肌で感じられた。

実篤が安子夫人と二人で過ごした住宅は、著名な作家にしては質素であり、緑の中にうずくまるように立地していた。敷地は国分寺崖線にあたり、傾斜地である。通常、こうした敷地に住宅を立地させる場合、敷地からの眺望を優先して、敷地の最も高い場所に住宅を建設することが常なのだが、実篤の住宅は、この傾斜地の中腹に立地していた。住宅から望む景観は、緑の森の中に佇むような眺望であり、これは、実篤が望んだことなのかもしれない。窓先から富士山を眺めたい、といった趣向は実篤にはなかったのだろう。

緑の島としての敷地は、近隣する住宅地に浄化した空気を吹き込むようなオアシスの機能を担っていると思われる。わたしは、実篤の文学に親しんだものではないが、実篤の文学は知らなくても、武蔵野の地景は誰もが親しむことができる。これこそ、実篤のメッセージであったのかもしれない。
(写真上:住宅へのアプローチ 下降する径 写真下:ニジマスのいる池(写真からはわかりずらい)へ降りる径)
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by kurarc | 2016-05-22 17:38 | slope-stair