映画『Dingo』とマイルズ・デイヴィス

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ジャズトランぺッターのマイルズ・デイヴィスが死去する間際に撮影された映画、『Dingo』をみた。映画自体はよい出来とは言えないが、マイルズ・デイヴィスの存在感が圧巻。

映画の冒頭シーンはこうである。オーストラリアの沙漠地帯、プーナ・フラットにジェット機が降りたち、そのジェット機の中からマイルズ・デイヴィスのグループが現れ、沙漠の中で演奏がはじまる。それを聴いた少年(ジョン)に、マイルズは「(音楽を)やるべきだ。・・・パリに来たら俺を訪ねろ」といって去って行く。ジョンはトランぺッターを目指し、大人になってからマイルズのいるパリへと旅立つ・・・

ジェット機の中から姿を現すマイルズと、去り際のマイルズがいい。マイルズであれば、映画ではなくとも、こうした光景はリアリティがあり、全く不思議とは思えない。サングラスをはずした彼の眼の輝きは尋常ではない。やはり、帝王と呼ばれるにふさわしい。映画音楽は、マイルズ・デイヴィスとミシェル・ルグランが担当。ルグランはリズミカルな音楽を聴かせてくれ、マイルズの詩情あふれる音楽と対比され、バランスがとれている。

この映画は、マイルズをみるだけでよい。

*”Dingo"とは、オーストラリアに生息するタイリクオオカミの1亜種であり、野犬の一種とのこと。
by kurarc | 2016-05-23 20:39 | cinema