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浄土寺浄土堂 朱色への旅

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先日、久しぶりに神戸を訪れ、念願だった箱木千年家や浄土寺浄土堂の再訪を果たすことができた。旅の途上、箱木千年家に向かうバスの中で、気になる神社の名称が目に入ってきた。

「丹生神社」という名称である。以前、このブログで『古代の朱』という松田壽男著の著作についてふれたが、この著作の中に、日本の丹生神社のフィールドワークが記されている。この著作は、松田氏が朱(硫化水銀)という物質から日本の古代を問い直した力作であり、日本における「水銀を人文科学として取り扱った最初の書物」(松田氏による)『丹生(にう)の研究』を読みやすく編集しなおしたものである。

「丹生神社」がある場所は、朱砂の産地を示すと考えられているという。松田氏の書物を改めてながめてみると、わたしがバスで通過した「丹生神社」の場所(神戸市兵庫区山田町)が書かれていた。

わたしが注目するのは、この場所からそう遠くない浄土寺浄土堂の朱色に塗られた内部構造材のことである。内部構造材がなぜ朱色に塗られたのか(軒板、板壁は白漆喰)について、わたしはまだ詳しく調べていないが、この「丹生神社」と関係があるのではないか、と想像してみたのである。もちろん、この建築が西日を取り入れ、光を内部で反射させ、阿弥陀如来を照らす装置として考えられたお堂であることとも関係があろう。

古代人は、地表に現れた岩石状の朱砂を土器や土偶に着色したり、文様を描いたりしたことが知られている。朱は古代の色なのである。

浄土寺浄土堂の朱色の謎から、古代史へ連なる一本の道が開かれるかもしれない。『古代の朱』を再度、熟読しなければならなくなりそうだ。(上画像:wikipediaより)
by kurarc | 2016-05-24 21:58