キェシロフスキ映画再び

b0074416_10551280.jpg

渋谷のル・シネマで、クシシュトフ・キェシロフスキ没後20年 特別上映『キェシロフスキのまなざし』が7月9日から開催される。キェシロフスキ映画ファンにとっては、またとない催しである。今までに彼の映画の大半はDVDでみてきたが、今回やっとスクリーンでみることができる。

キェシロフスキ映画を初めてみたのはVHSで偶然借りた『ふたりのヴェロニカ』であった。それからこの映画を忘れかけていたが、思い出したようにこの映画を再見して、彼の映画を再びみるようになった。ポーランドと言う政治的に大きく揺れ動いた国家に生まれながら、彼の映画にはそうした背景は遠く退けられている。そこに不満をもつ世代、人々はいると思うが、彼は、政治から距離をおいた映画を撮影し続けた。

彼の映画の魅力は、映画をみている時間を楽しませてくれるということにつきる。映画の中で何を主題にし、どのような批評をこめるのかは大切だが、映画好きにとっては、まずは映画をみている時間が楽しくなければならない。そのことを彼は常に気を使っていた監督ではなかったか。映画の内容を吟味するのはその後のことである。映画俳優、色彩や光、映画音楽、映画の中の都市の表現、シナリオなどそのどれを切り取っても彼の映画は一冊の本になるほど豊饒な意味をもっている。それでも決して難しい表現をすることもない。

この機会にもう一度、彼の映画を初心に帰ってみてみたい。
by kurarc | 2016-06-11 10:55 | cinema