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夏 マティス

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2004年、国立西洋美術館で開催されたマティス展(副題として、Processus/Variation プロセス(過程)とヴァリエーション(変奏))のカタログが届いた。

こうした画集といってよいカタログをしみじみと眺めるのは久しぶりのことである。絵画をみる習慣はないが、こうして名画を眺めることは音楽を聴くことと同様、心の糧になる。

副題にあるようにマティスの絵画が形成されるまでの過程と変奏を中心にカタログはまとめられている。先日、このブログで紹介した「ルーマニアのブラウス」には、14の変奏があり、15枚目がいわゆる完成品となるが、マティスにとって、完成品という言い方は正しくはないようだ。完成に導かれる過程はどれも独立し、それぞれが主題であり、全く異なる作品といってもよいものである。このあたりについては、カタログを熟読した上で、改めて言及することにしたい。

カタログの最後に登場する切り紙絵の手法による絵画がよい。特に気に入ったのは、「ポリネシア、空」(下)、「ポリネシア、海」(上)という作品である。この作品からはそのタイトル通りの世界が単純な色彩によって表現されている。それは、日本の夏のような湿気は感じられず、まさにポリネシアの夏を感じさせる。

切り紙絵という手法によって、マティスの絵画は藝術作品のもつアウラや、手の痕跡が希薄化し、「藝術作品」から遠ざかることになるが、それは、プロダクトデザインに通じる新たな試みであったし、オリジナリティーを超えていくような表現の手法に成長する。
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by kurarc | 2016-08-13 21:50 | art