映画『イマジン』再見

b0074416_21300390.jpg


ポーランド人の映画監督、アンジェイ・ヤキモフスキの『イマジン』を再見。およそ、2年前に観た映画だが、TSUTAYAでDVDがレンタル開始されたこともあり、手に取った。

この映画は、リスボンを舞台とし、視覚障害者の世界を描いた映画である。再度2年前と同じように感じたのは、リスボンという都市のランドスケープやテクスチャーを背景に、巧みな演出がなされているということである。

アズレージョと呼ばれるタイル、カルサーダ(シュ)と呼ばれる敷石の街路、動物たちの奏でる音、そして、この映画の主題となる都市のサウンドスケープが映画の中でさりげなく表現に取り込まれている。そして、今回新たに気づかされたのは、わざわざ英語とポルトガル語という2重の言語を台詞に含ませることで、言語の音感、ニュアンスの違いまで表現に取り入れているということである。この映画でわかることだが、ポルトガル語は英語に比較して、発音がしなやかであるということ。そうした言語のニュアンスの違いを、「視覚のない思考」、「音」を主題とした映画の中で利用しているのである。

ヤキモフスキは、1990年代後半にリスボンを訪れ、この映画の構想(港が近くにありながら、そのことを感じさせない都市景観があること)を思いついたということだが、そのときには、都市景観の特徴だけでなく、重合した都市のテクストのようなものを同時に感じとったに違いない。さらに、ヴェンダースの映画『リスボン・ストーリー』も音を副題にしていたので、ヤキモフスキにヒントを与えたのかもしれない。

この映画は、リスボンを舞台にした名画として、『過去をもつ愛情』、『白い町で』、『リスボン・ストーリー』などの映画と共に確実に映画史に刻まれると言ってよいだろう。

[PR]
by kurarc | 2016-08-21 21:32 | cinema