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木にさわる

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『つばめが一羽でプランタン』(飛幡祐規著、白水社)を読んでいる。フランス語の格言を集めたような本であり、格言から現代のフランスの様相をとらえようとしたエッセイ集でもある。

本のタイトルは、下のようなフランス語の格言で、

Une hirondelle ne fait pas le printemps.

直訳すれば、「つばめが一羽いるからといって春が来たことにはならない」であり、そこから、「物事の一部、一例だけを見て、全体を推し量ってはならない」という意味を表現していると飛幡氏は書いている。

こうした興味深い格言が35文掲載されている。その中で、「木にさわる」というものがあった。わたしは、この格言、金言のような言葉を知ってまず思い出したのは、映画『ふたりのヴェロニカ』のラストシーンである。ヴェロニカは車の中から自宅にある木にさわり、父親の姿が映され幕が降りる。このシーンは、映画の冒頭での幼少期の植物の体験の映像に回帰することをも想像させるが、フランスで「木にさわる」とは、一種のおまじないであり、「悪運をはらいのける」ことであるという。

Touchons du bois.

が、そのフランス語である。その他、左足で犬の糞を踏んづけると縁起が良いとされ、ガラスを割ると福をもたらすなど、奇妙な言われもあるのだそうだ。逆に縁起の悪いといわれるものは、家の中で傘を開くこと、梯子の下をくぐること、パンを裏向きに置くこと、鏡を割ること・・・etc.

科学的精神をよしとし、ライシテ(非宗教)を旨とするフランスも、おまじない、お守りが大好きらしい。どこかの国の人とよく似ている。

*ちなみに、著者は女性である。

*この「木」とは、trique(棍棒、男性性器を隠喩)を象徴するものでもあるそうだ。

by kurarc | 2016-09-13 21:30