次はイタリア語か

ロマンス諸語の学習を逍遥している。現在はフランス語である。ルーマニア語は失礼なことではあるが、学習してメリットがありそうもないので、パスさせてもらうことにするとして、最後はイタリア語である。

本来であれば建築を学ぶものとして、イタリア語は必修の語学であるが、わたしは意識的にさけてきた。それは、正直イタリア語の音がわたしには心地よく響いてこなかったことによる。通常、イタリア語の響きは美しいというように感じる人は多いと思うが、わたしには今でもそのようには感じられない。母音をはっきり発音し、日本語の母音に近い音であることにも抵抗があるのかもしれない。

しかし、イタリア語の学習はさけられそうにない。わたしの最も敬愛する建築家ブルネレスキの国の言葉であり、建築を学ぶ上でイタリア語の知識は欠かせない(音楽を学ぶ上においても)からである。

最初の海外旅行のときにも、イタリアは1ヶ月半という時間をかけて、北はミラノから南はシチリアまで旅した。他の国にこれだけの時間をかけたところはない。もっとも感動し、刺激を受けた国であったと思う。それでは、なぜ初めにイタリア語を勉強し、遊学しなかったのか。それは、わたしの世代は、すでに多くの人がイタリア赴くことは一般化していたから、それをさけたことが大きい。

建築をやる人間は、多くの人がイタリアの建築事務所に勉強に行く。すぐれたデザイナーが多くいるからあたり前のことだが、わたしはその一人になりたくはなかった。滞在するのにお金がかかるということもあった。少しでも長く滞在するためには、スペインやポルトガルのような、当時物価の安い国を選択せざるを得なかったこともある。

ポルトガル語の学習からはじめたが、それは、スペイン語、フランス語を経て、イタリア語を学ぶ基礎をつくってくれた。ポルトガル語を学んだことが、最後にはイタリア語を学ぶ道を切り開いてくれたのである。少し(大分)遠回りをしただけのことである。

by kurarc | 2016-09-16 23:26