池澤夏樹著『セーヌの川辺』 フランスの景観について

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池澤夏樹さんの活動はいつも気になる。池澤さんを意識するようになったのは、アンゲロプロス映画のシナリオ翻訳者としてだが、その後、沖縄に過ごしたり、フランスに行ったりと、遊民のような彼の生き方に憧れてもいた。

フランスの生活から導きだされたこの著作の内容のなかに、都市景観に関する文章が含まれている。「フランスの景観 アズールとアスマール」という一文である。池澤さんは、結論から言うと、日本のような雑然とした都市ではなく、フランスのような美しい都市景観に共感している。

その理由は、単に美しいから、というだけではない。また、建築物を文化の表現とみる、というフランスの法体系やマルロー法に感心しているだけでもない。

それは、国家のあり方、人がどのように国をおもうのか、を表現していること、フランスの共和国の理念(ドゥブレ)、経済は政治に従属すべきものである、という理念に池澤さんは着目する。日本は全くその逆であろう。フランスのような理念から、広告や看板は都市の美観を損なうものであるならば、当然、譲るべきものとなる。

国が人民のものとならない限り、上のような理念は虚弱なままであろう。しかし、日本は現在ゆるやかにではあるが、景観法の整備を進めつつある。今後、現在の建築基準法と景観法がどのように接点をもち、変革されていくのだろうか?また、フランスの方向性ではなく、第3の方法、方向性のようなものはあり得るのか?

わたしは個人的には、フランスのようになることはない、と思えるから、第3の方法を考えるしかないと思うが、それがどのようなものになるのか、今の時点で全く想像がつかない。

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by kurarc | 2016-11-07 23:14 | France