長田弘とボブ・ディラン

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テレビでボブ・ディランの特集をやっている。わたしはボブ・ディランに薫陶を受けた世代ではない。彼の曲を聴くと、歌詞は確かに優れているが、曲はどうだろう?

わたしが頼りにする20世紀のバイブル『私の20世紀書店』(長田弘著)には、ボブ・ディランに関係する章があった。「iDEATH」というタイトルの章である。

長田はここで、直接ディランを語るのではなく、ディランの友人でシンガー・ソングライターであったフィル・オクスを取り上げている。1963年、オクスとディランは雑誌「ブロードサイド」を編集。名曲「風に吹かれて」はそこからはじまったのだという。しかし、彼らはたえず衝突。プロテスト・ソングの正道をいくオクスをディランは批判していたのだという。オクスのテーマは常に「政治」だったからである。しかし、そのオクスが独房に入れられるや、ディランはオクスのためのバラード「ハリケーン」を歌うことになる。

長田によれば、1960年代のアメリカは死(自死、変死)の時代であった。ヘミングウェイの自殺、モンローの死、ケネディの死、キング牧師の暗殺などあげれば切りがない。

こうした時代の後に、詩人のアレン・ギンズバークはディランの『欲望』に、「キープ・オン・ワーキング!」(やりつづけること!)という言葉をよせたと言う。長田は、「日々の生きるという手仕事」を「やりつづけること」と解釈している。

長田のこうしたディランの理解の仕方はなんとエレガントなのだろう。

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by kurarc | 2016-12-10 22:10 | music