一橋大学の「怪物」たち

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今日は、地元の建築家グループの見学会に参加。見学対象は、一橋大学や国立の街についてである。

一橋大学内に入るのは、わたしが高校生の頃、学園祭に訪れて以来のことになると思う。伊東忠太設計の兼松講堂がその中心に位置するが、実は正面に見えるのは時計塔をもつ付属図書館であることに初めて気がついた。こちらの設計は伊東ではなく、中根まがきである。

建築史家の藤森照信氏によって、「怪物の棲む講堂」と名付けられた兼松講堂は、内部の見学はできなかったが、そのロマネスク様式を模した外観を鑑賞した。スクラッチタイルの土色の外観、三連アーチのポーチと柱頭に彫刻された「怪物」たち(上写真)に目が留まる。

藤森氏によれば、大学の起源は、中世修道院にあり、その当時の様式はロマネスクであったから、伊東は、その起源の様式をこの一橋に選んだのではないか?と推測している。手の込んだ建築であり、当時の職人たちの技術の高さを思い知らされる講堂である。

しかし、一橋大学は一つ、大きな間違いを犯している。それは、伊東の方針で進めたロマネスク様式を、新しく建設された建築にまで敷衍し、近代建築にロマネスクの装飾をかぶせてしまった建築を数多く建設していることである。素材感を踏襲するのはよいにしても、現代においてその様式、装飾まで踏襲する必然性はなかったはずである。大学理事会のセンスが疑われる事象であろう。

それにしても、1920年代から30年代にかけて建設されたロマネスク様式の大学内の建築は落ち着きがあり、好感がもてた。伊東の建築の中では、わたしは最も好きな建築かもしれない。モダニズム建築の全盛期にこうした建築が建設されたことにどのような意義があるのかは、また別の問題であるが・・・



by kurarc | 2017-01-21 22:05 | architects