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大きい建築 小さい建築

かつて「住宅は藝術である」といった建築家がいた。建築の基本は住宅であることに変わりはないが、住宅が建築において最も重要な領域を占める、といった神話をつくることは間違いである。

住宅と言う「小さい建築」と都市の中の再開発で建設され出現するような「大きな建築」は、同じ建築でも、全く異なる領域なのである。これら二つを比べて、どちらが優れているかとか、どちらに価値があるのかといったことを比較することはそもそもできない。

わたしは、およそ4年の間、「大きな建築」に関わるようになって、その意義がおぼろげながらわかるようになった。個人を主に対象とする住宅「小さな建築」と、不特定多数の人々の使用を対象とする建築「大きな建築」、あるいは、「都市の建築」は、制度、法規、予算、建設形態、建築技術、労働者の労働条件、施工者の組織、設計者の思考など様々な領域で全く異なる発想から建設される。

詳しく述べると切りがないが、わたしはむしろ「小さい建築」派だった人間であり、「大きな建築」を全く気にかけなかったが、それは、間違いであったことがわかった。少なくとも、これら二つの領域を横断する建築全体の流動域を常に注視することが重要なのである。

単純にいってしまえば、すべての建築領域に眼差しを向けることが重要であり、その中からしか新しい建築は生まれないのだと思う。主に住宅しか設計しないような建築家であっても、CFTだのフラットスラブだのCRM等々といった建築技術をすぐに頭の中に思い描けることが重要である。

何の領域でも同じかもしれないが、見るものと見ないものとを自分で決めてはダメだ、ということである。

by kurarc | 2017-01-26 23:50 | architects