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引越しから学ぶこと

このところ引越しについて書いている。引越しは建築を設計するものにとって、いろいろ考えるきっかけを与えてくれる。

まず第一に、引越しをすることは必然的に新しいプランの体験となる。プラン、使い勝手のよいところ、悪いところを新鮮に学ぶことができる。クローゼットの奥行きが足りないとか、扉の開き勝手とか、照明の位置であるとか、ここはうまくいっていないな、といったところは特に自分でも注意しなければならない。

まだ、ほぼ段ボールの中に様々なものが収納されている状態であるから、日々使用する事物についても考えさせられる。お皿がないということがどれだけ不便かとか、クリップがないので書類が閉じられないとか、洗剤がなくて食器が洗えないとか・・・etc. 日常の些細な生活、作業に小さな事物がいかに重要であるのかを改めて発見するのである。

日常とはそうした些細な出来事を連続させていくこと、そのために小さな事物が数多く必要であり、我々の生活を援助してくれていることを思い知らされることになる。

建築を生業とするものは、数多くの引越しを体験すべきなのである。それによって様々な生活環境を経験し、学び、それを仕事に活かすことが大切である。ブルーノ・タウトが戦前日本にやってきて、群馬の小さな住宅に住み、そこから多くの日本家屋の特色を引き出したことを思い出した。彼は生涯旅人であり、変化していく環境から新しい建築を認識していった。

若いときに自邸をつくってもよいが、それをいつでも捨てる勇気を建築家は持たなくてはならないのだと思う。

by kurarc | 2017-02-08 22:46