ジュウシマツと芸術

鳥に関する本を渉猟している。今、注目しているのは岡ノ谷一夫さんや、小西正一さんの著作である。主に、鳥の歌、さえずりに関する研究だが、これがなかなか興味深い。

岡ノ谷さんの本の中に、興味深いエピソードが書かれていた。それは、ジュウシマツの歌についてである。小鳥のさえずりは、求愛行動がその主目的とされているが、ジュウシマツを観察していると、そうしたジュウシマツの中に、メスの前では歌わないものが出てくるというのである。そうしたジュウシマツは一人(一羽)にすると歌い出すのだという。そして、そのジュウシマツは他のジュウシマツと異なり、高度な歌を歌うのだそうだ。

岡ノ谷さんの研究室にいるそのジュウシマツは「パンダ」と名付けられて有名なのだという。岡ノ谷さんは、このジュウシマツは求愛という本来の目的から離れて、歌うことそのものを、歌うことの美しさを求め始めたジュウシマツではないか、と考えている。それは、(鳥の)芸術(音楽家)の始まりではないか?と。

鳥の歌(さえずり)を考えることから、人間の言語や歌について、芸術について思いを巡らして見ることは、鳥と人が意外と近い存在であることを気づかせてくれる。音を絵にするソナグラフというものからフーリエ解析(フーリエ変換)の具体的なイメージをつかむことができたのも役に立った。

人間はなぜ歌を歌うのか、という問いもかなり奥が深そうである。歌から言語が始まったという研究や、言語や意識の問題群が鳥と言う動物から考察できるかもしれないし、興味は尽きない。

再び言う。今、鳥がおもしろい。
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by kurarc | 2017-03-28 18:36 | art