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井上ひさし、ボローニャ、ポルティコ(柱廊)

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先日、イタリア文化会館で催されているイタリアブックフェアに立ち寄った。日本語で紹介されたイタリアに関する書籍が所狭しと展示してあったのだが、その中に、井上ひさしさんの随筆『ボローニャ紀行』(文春文庫)が置いてあった。井上さんが都市論のような随筆を書いている、という驚きもあり、早速、アマゾンで古書として購入した。

まだ、読み始めたばかりだが、19の随筆の3番目に、「柱廊(ポルティコ)の秘密」と題する随筆があった。ボローニャはもちろん訪れたことがある。そして、私にとっては忘れられない思い出がある。街外れにあったおよそ一泊300円程度の公立のドミトリーに宿泊したからである。ここは、いわば無職のような境遇の労働者(悪く言えば浮浪者)が宿泊するようなドミトリーであった。わたしは、宿泊代をうかせるために、海外旅行ではこうした宿をよく利用する。しかし、その反面、怖い思いもする。このドミトリーではカメラを盗まれそうになった。その盗もうとしたイタリア人(フランチェスコという名)は、前日までわたしを色々な場所に観光案内してくれたのであるが、ドミトリーを離れる最後の日になって犯行に及んだのである。しかし、彼はそのカメラを自分が盗んだようには見せかけず、わたしに返してくれたのであった。

閑話休題、ボローニャのポルティコ(上写真、wikipediaより)は、都市というものを考えるときに、必ず頭の中に浮かんでくる装置である。ボローニャ人は、このポルティコのおかげで、雨の日も傘が必要ないと自慢する。そのポルティコの起源について、井上さんは、この随筆でふれていた。大学の街として知られるボローニャに学生が集まり、その学生数がバカにならなくなった頃、2階上部に増築をし、学生のための部屋をつくった。その部屋は木の柱で支えるようにつくられ、のちに、石造としてつくられるようになった。これが、ポルティコの起源ということらしい。

井上さんがこうした随筆を書かれているとは知らなかった。ボローニャについては、かなりの気の入れようで、その熱気が伝わってくる名随筆である。そして、井上さんらしいユーモアも忘れてはいない。



by kurarc | 2017-04-04 21:32 | books