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20代

以前勤務していた建築事務所の所長O氏より、小さな改修の仕事を手伝ってくれないか、と日曜日に突然電話が入った。もちろん、快諾したが、我々のような独立して仕事をしているものは、忙しい時と暇な時との差が極端に激しい場合が多い。仕事が忙しい時に、さらにこれでもかと仕事が舞い込んでくる。そういう時には、プライベートでも忙しい場合が少なくない。

日曜日に所長O氏の案内で現場を車で尋ねながら、その帰りに調布飛行場のの脇を通過する。いつも通っている東京外国語大学裏の道である。自宅から近くにありながら、わたしは初めてここを通り過ぎた。調布飛行場にはカフェもできているのだとか。今度ゆっくりと尋ねてみたい。

久しぶりに元所長O氏と仕事の打ち合わせをしながら、働いていた20代の頃が思い出された。この事務所で働いている時、父が死去し、退所して1年後に今度はすぐ上の兄が死去した。20代は近親者の死が続く10年であった。(祖父も死去した)それは、わたしに何か特別な緊張感を与え、社会人入試での大学院へ進むことを決意させ、修士論文を書き終える。この論文をほぼ書き終えた時、何か表現できないような身体の興奮と脱力感のようなものが同時に訪れ、涙が止めどなく流れてきたのを覚えている。今思うと、20代が終わったと感じられた瞬間であったのかもしれない。

そうした経緯から、この論文にかなりの自信があったこともあり、日本建築学会の優秀修士論文賞の候補として提出してから、わたしは図々しくも受賞発表はいつになるのかと職場から2回ほど学会に電話をかけた。幸い、論文は受賞。この受賞は死んだ父と早死にした兄に助けられての受賞だったといっていい。

20代は大学卒業後、沖縄へ、そして海外旅行、その後、仕事、そして論文と慌ただしく過ぎていったが、わたしの20代、つまり1980年代はわたしにとって最も思い出深い10年となった。映画もなぜか1980年代の映画が好きである。それは、この頃を思い出すことができるからかもしれない。




by kurarc | 2017-05-22 19:50 | archi-works