「郊外論」の広がり

「郊外」という主題はすでに古いのだと思うが、色々な本を渉猟していると意外と奥が深いことがわかってきた。さらに、日本だけでなく、海外でも郊外についての考察が盛んであることもわかった。サティという作曲家がパリの郊外に住んでいたことをテーマにした書物や、そういえばエリック・ロメールの映画『満月の夜』の中でもパリとパリ郊外との往還を描いていたことに改めて気付かされる。

郊外論が興味深いのは、我々は無意識に中心というものを意識しているが、その中心に批判的な眼差しを向けるきっかけになるということである。わたしの住む地域であれば、中央線各駅が圧倒的な力を持つのだが、江戸時代に視線を移動させると、その中心は、甲州街道や青梅街道などに移動するし、古代に目を向けるのであれば府中といった都市が重要になってくる。中心は常に変動していることを郊外論が教えてくれるのである。

東京圏に限ってみても、20世紀は郊外を中心から周辺へと拡散していく時代であったと言える。そして、21世紀は、ポスト郊外の時代である。それは人口減少に伴う、郊外消滅の時代になるのか?、あるいは、郊外の過疎化になるのか?

大きな変化は、2050年くらいにならないと起こらないようにも思えるが、それは新しい働き方(新しい仕事、労働)と住まい方との関係によって決定されることは間違いなさそうである。

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by kurarc | 2017-07-08 17:48 | books

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