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トーネットの合板家具

ミヒャエル・トーネットは曲木の技術を確立させ、家具の工業化に成功したデザイナーであり、実業家である。わたしが天童木工から販売させていただいたガラステーブル(カテナリア)も、カテナリー曲線を使用するという構造的なコンセプトともう一つ、トーネットの曲木家具を曲板、つまり合板でつくる(合板に変換する)、という材料上のコンセプトから考えられたものであった。

しかし、武蔵野美術大学で受講している島崎信先生の家具のレクチャーの合間、島崎先生にガラステーブル(カタログで)を見ていただき、コンセプトなどについて説明させていただくと、

「トーネットは、最初、合板家具から出発しているのを知っていますか。」

と、言われ、我に返った。わたしのコンセプトの説明の仕方は間違っていたのである。つまり、以下のように正さなければならないということである。

「当初、トーネットは合板で家具をつくりはじめた。その時代のトーネットの思いを継承し、テーブルを考えてみました」

と、少なくともこの程度に正さないと的外れになってしまう、ということである。カテナリアは、しかし、トーネットの曲木家具から多くのインスピレーションを得たことは確かであるから、すべて間違いということにならないが、トーネットが合板家具から出発していたということを意識しなければいけなかったということである。

SD選書(鹿島出版会)の中にカール・マング著の『トーネット曲木家具』があり、わたしも読んだが、この本の最初に実はこの合板家具に関する記述がある。わたしはこの記述をすっかり忘れていただけだった、ということだが、無意識に残っていて、「合板によるトーネット」というコンセプトが生まれたのかもしれない。

*日本では多分大半の人は、曲木から合板へという流れによって、家具が進化してきたと思われていると思うが、それは逆で、合板から曲木という流れであったということである。変化は、接着剤や合板を有効に接着するための高周波機器が意外と新しい技術ということもあり、合板が新しい技術だと勘違いしているということだと思う。



by kurarc | 2017-07-15 21:59 | design