『雑学者の夢』(多木浩二著) を読む

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この夏は、計4つの中編、長編小説とフランス語、音楽理論の学習、そして、この多木先生の書物を読むことを計画していた。

一応、すべて一通り学ぶことができたのだが、(音楽理論は中途半端になった)タイトルの多木先生の書物は、多木先生の中でかなり特殊な書物である。晩年の書物(出版されたのは76歳の時)でもあり、多木先生が、どのような書物を学び、読解してきたかの告白、回想であり、紹介でもある。

バルト、ソシュールからバンヴェニストといった哲学者、言語学者、ベンヤミン、そして、フーコーを中心に言及されているが、彼らに連関する名だたる人名が数多く登場する。わたしには理解も及ばない知的な世界であるが、多木先生は、こうした知的世界を逍遥しながら、自らの世界を構築していったことがよく理解できた。

この書物を読んだ限り、やはり多木先生は、早い時期にフランスの思想家、特に、ロラン・バルトから多くの刺激を受けたことが理解できる。さらに、「ヨーロッパの認識論の解体」をするものとしてのフーコーから自己批判をするようになったことが赤裸々に語られている。追いつこうとしていたものから、突き放されるような感覚を味わったのかもしれない。

決して自己を直接語る書物ではないが、知的に自己を表現している。先生は、最後まで知の巨人であり、紳士であったのだと思う。

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by kurarc | 2017-09-05 19:56