ヴィスコンティ 映画『家族の肖像』

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昨年はヴィスコンティの没後40周年だったこともあり、数々の映画がデジタル完全修復された。その一つがこの映画『家族の肖像』である。実は、ヴィスコンティの映画はあまり観ていない。この映画も初めて観た。ヴィスコンティの最晩年の映画。撮影前、脳血栓で倒れたこともあり、撮影舞台を室内に絞り込み、身体に負担がかからないようにして、このような映画を製作したということらしい。

一人で暮らす老教授の静寂な生活が、ある家族の侵入によって破局を迎える映画だが、単純な物語ではない。当初、老教授は苦悩を抑えることができないが、あるときが来ると、ある結論を導き出す。その結論を出すまでの過程を描いた映画と言えるだろう。それは、この映画の進行とともに、老教授の心理の変化として描かれる。映画を見始めた時にこのような結論を教授が導き出すことになるとは、わたしは想像もつかなかった。

この老教授は実在した著名な美術史家マリオ・プラーツがモデルであると言われる。先日紹介した、多木先生の書物の中に、マリオ・プラーツの著書『室内の歴史』が紹介されている。この著書はまだ翻訳されていないので、内容はわからないが、ヴィスコンティはこの著書に刺激を受け、プラーツをモデルに「室内の映画」を撮影することを頭の中に描いていたのかもしれないし、ローマで現在プラーツの自宅が美術館として公開されているようだが、ヴィスコンティはプラーツの自宅を訪れ、その圧倒的な室内調度の収集品に触発され、この映画を発想したのかもしれない。

家族とは何か、ということを、かなり常識とはかけ離れた次元で教えてくれる映画、といっていい。そしてもう一つ、この老教授はヴィスコンティ自身であったのかもしれない。


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by kurarc | 2017-09-10 23:00 | cinema

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by S.K.
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