Googel earthで訪ねるリスボン

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一度でも海外に生活したり、海外でなくとも、故郷以外で長く一つの都市に滞在した人はわかると思うが、その後、その都市がどのように変化したのか、気になるものである。

わたしにとってそうした都市は、いくつかある。大学院生の時に1年過ごした川越、設計事務所勤務時代に1年移り住んだ自由が丘、大学卒業後2年ほど過ごした那覇、そして海外ではリスボンである。

特にリスボンには郷愁がある。この都市に2年過ごしたことは大きかった。海外に過ごしてわかったことだが、1年はあっという間に過ぎてしまう。よって、身体にその都市が刻み込まれる時間は最低2年必要であることがわかった。

リスボンでは、下宿先を転々とした。初めは、日本のポルトガル語教室から紹介してくれた下宿先。その次は、大学の掲示板で見つけた下宿先。この下宿先はポルトガルで最も著名な建築家、アルヴァロ・シザ・ヴィエイラの設計した(リコンストラクションされた)都市住宅であった。大家さんであったイリナさんとは未だにFacebookでつながっている。その次は、自分で不動産屋に契約に行ったカンポ・デ・オリーク(オリーケ)という地区の東端に面するアパート、ここの契約が切れてから帰国まではキッチン付きホテルに宿泊した。

カンポ・デ・オリークのアパートに決めたのは、リスボンを流れるテージョ川が見渡せるアパートであったことが大きい。(こうしたテージョ川を眺められるアパートは不動産広告に「Visto Tejo 」と記されている)そして、偶然にも、このアパートの隣の隣は、ポルトガル近代を代表する詩人、フェルナンド・ペソアの最晩年の住まいであった。

Googel earthでこうした場所を気軽に訪ねることができるようになった。わたしの行きつけのバルはまだ健在だ、とか、この場所に新しいカフェやレストランができた、といったことがリアルに把握できる。もちろん、こうしたことは、住まないまでも一度旅行で行った都市についてなら検証することができる。

少し前にタブッキという小説家のリスボンを舞台にした小説を紹介したが、この小説の中に出てくる街路の名前を検索しながら小説を辿れば、小説の中に見えがくれする土地の様子、地形、景観などを把握することができる。Googel earthはある時点での画像が提供されているが、こうした画像が時間の推移(つまり過去)まで記録できれば、都市がどのように変化していったのかが理解できる。今後、こうしたサービスが開始されることを期待したい。

Googel earthの中を歩きながら、かつて暮らした都市リスボンを歩くことは多くの再発見がある。もはや、海外旅行をしないで、かなりのリアリティを海外の都市に持つことが可能となったと言ってよいが、やはり実際の都市を歩いて、身体に刻み込ませることがその都市を知る最良の方法であることに変わりはない。そうでなければ、その都市に郷愁を持つことは不可能だからである。郷愁はかなりの力となって、次の行動を促す起爆剤になる。わたしにとってそうした都市と言えるのは、海外では今のところリスボンだけである。

*上写真中央の6階建のビルが、カンポ・デ・オリークのアパート。4差路の角に建っていた。バルコニーから目の前には、エストレラ大聖堂が、その果てにテージョ川を見渡すことができた。(Googel earthより転写)

*Googel earthが残念なのは、もはや過去の画像を再現することができないことである。わたしが初めてヨーロッパを訪ねた1984年の都市の景観はグーグルのデータの中にはもちろんないから、その当時の景観はすべて写真か映像、個人の記憶の中にしか残らないことになる。

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by kurarc | 2017-09-12 15:27 | Portugal

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