シネマ・アンシャンテ

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映画『LA LA LAND』にインスピレーションを与えたジャック・ドゥミの一連の映画は、「シネマ・アンシャンテ」と呼ばれる。

"enchanté"というフランス語は、通常「初めまして」といった挨拶の言葉、「魅せられた」という意味の言葉として知られているが、この言葉の中に、”chanté”という「歌われた」という意味が含まれていることもあり、ドゥミは、特に映画『シェルブールの雨傘』をフィルム・アンシャンテ(film en-chantéー歌で魅せる映画)と名付けたという。(山田宏一)

今年は『ロシュフォールの恋人たち』50周年を迎えたこともあり、10月からドゥミの一連の映画のリバイバル上映が恵比寿ガーデンシネマで予定されている。それに合わせて、『シネマ・アンシャンテ』(山田宏一、濱田高志著)というドゥミの業績をたどる素晴らしい書物も発売されたばかりだ。

この書物では、ドゥミと音楽を担当したミシェル・ルグランの世界がこれでもかと堪能できる。ドゥミの映画の秘密、ルグランの音楽の秘密がかなり明確に理解できるような内容になっている。

『ローラ』、『シェルブールの雨傘』、『ロシュフォールの恋人たち』の三部作はわたしにとって掛け替えのない映画で、何度見ても飽きることがない。今秋は、映画館でこれらの映画を鑑賞できるまたとない機会が訪れようとしている。秋は、映画の季節になりそうである。


by kurarc | 2017-09-27 17:35 | cinema