『ミュージック 「現代音楽」をつくった作曲家たち』を読む

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『ミュージック 「現代音楽」をつくった作曲家たち』(ハンス・ウルリッヒ・オブリスト著)は、現代音楽家たちのインタビュー集という体裁をとっている書物。ここで取り上がられた音楽家たちは、シュトックハウゼン、ブーレーズからクセナキス、スティーブ・ライヒ、アート・リンゼイ等々から、オノ・ヨーコ、カエターノ・ヴェローゾまでを含む。

わたしは、クセナキスとカエターノ・ヴェローゾが含まれていたこともあり、すぐに手に取った。現代音楽家たちの言葉を読みながら感じたことは、彼らは自らのやってきたことを新しい言葉で表現していることである。ブーレーズであれば、「ヴァーチャル・スコア」、クセナキスであれば、「ポリトープ」、「ディアトープ」、カエターノ・ヴェーローゾであれば「トロピカリズモ」等々。

クセナキスが命名した「ポリトープ」(数学用語でもある)は、語源的には「ポリ」=複数の、「トープ」=トポス(場所)を合成したものであり、建築的な言葉といってもよく、極めて興味深い。「ディアトープ」も、「dia」=分離、〜を通って、という意味の接頭辞から命名されたということであり、「ポリトープ」と意味は相似している。

何か新しいことに挑戦するものたちは、必ず新しい言葉をつくり出している(あるいは、見つけ出してくる)ということ。それは当たり前のこととも思えるが、つくり出された言葉から立ち上がる言葉の喚起力、創造力は生き生きとしていて、その言葉だけで脳が覚醒される思いがする。

この書物のインタービューの中で、カエターノ・ヴェローゾは、「音楽があなた(ヴェローゾ)を選んだ」と言っていて、自分で積極的に音楽をやるとは思っていなかった、と意外なことを告白している。彼の中心には哲学があって、それに音楽の方が近づき、外部へ導いてくれたということなのかもしれない。

「最も面白い人生は、自分以外の人生だ」という言葉があるというが、創造するものたちは、自己表現をしているものたちではなく、実は自分以外の人生を生きている人たちなのかもしれない。

*「最も面白い人生とは、自分以外の人生だ」という言葉と、わたしの好きな言葉、「生きるとは、他者になること」(フェルナンド・ペソア)とはどこか通じているが、ペソアの場合は、もう少し言葉に浮遊感があって、自由な解釈を許す感覚がある。

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by kurarc | 2017-10-04 19:11 | music

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