日本民藝館 ウィンザーチェア展へ

b0074416_15592653.jpg
昨日、武蔵美で行われていた島崎信先生による4回にわたる家具のレクチャーが終了。島崎先生の緻密な家具のレクチャーに参加でき、多大な収穫を得ることができた。その講義の打ち上げの中で、日本民藝館でウィンザーチェア展が開催されていることを知り、早速見学してきた。

日本民藝館は30年ぶりくらいになるだろうか。修士論文を書いている時に訪れたきりであったと思う。どのようなウィンザーチェアが展示されているのか楽しみであったが、その展示方法にいささかがっかりした。多くがガラスケースの中に収蔵され、そうでないものは、「お手を触れないでください」という張り紙が全てに付されていた。腰掛けられるものは皆無。なんのための家具展なのだろうか、と腹立たしくなった。

民藝については、修士論文を書いている時に少しだけ考えたことがある。修士論文で取り上げたブルーノ・タウトという建築家が民藝運動と関わったことがあったためである。もちろん、こうした運動がなければ、目に見える形で残ることはなく、様々な民芸品は消失してしまっていたのだろうが、ガラス越しにみる民芸品とは一体何物であるのだろう、と思ってしまう。これは、明らかに民芸品が藝術品へ転倒してしまった姿である。こうした転倒が果たして民芸品としてふさわしかったのかどうか、わたしには違和感しか残らなかった。(『民芸、理論の崩壊と様式の誕生』出川直樹著、新潮社などを参照)

日本民藝館の建築(上写真)もわたしにはキッチュに見える。大げさな大谷石の使い方と、貼り付けたようななまこ壁の意匠。これが藝術としての建築ならば、わたしはバラック建築で十分である。こうした重々しい意匠をまとわせることでどれほどの部材が過剰に使われるのかと思うと、無駄としか思えないのである。

ウィンザーチェアを手で触ることも座ることも許されないような展示方法に、腹立たしさしか残らず、帰路につくことになった。こうした方針は今後も続くのだろうが、少なくとも2、3脚について座ることができ、触れることができるような展示を考えるべきである。

*『民芸、理論の崩壊と様式の誕生』出川直樹著は、新版『人間復興の工芸 「民芸」を超えて』という新著でより深い次元で、民芸を批判している。驚いたことに、この新版の解説を、大学院時代にお世話になった内田雄造先生が書かれていたことを知った。この新版を手に取り、初めて気がついた。偶然とは思えない出会いであった。

by kurarc | 2017-11-12 16:02 | design