放送大学プログラム 『世界文学への招待』

放送大学をテレビで見ることはほとんどなかったが、偶然、講義の副題が気にかかり見るようになったものに、『世界文学への招待』という講義がある。

この講義がよいのは、世界各国へ講師が出かけ、現地の文学者へインタビューをし、同時代の作家の思考、思想を紹介していることである。また、訪れる国々も幅広く、わたしがはじめに見たのはマルチニック島を訪ねた講義であり、パトリック・シャモワゾー(『クレオールとは何か』の共著者の一人)のインタビューを聞くことができた。

その後、パレスチナ、パリからプラハへと広がり、その講義の内容自体もそれぞれ興味深い。パリでは、作家を支えた2軒の書店を取り上げ、ヘミングウェイやジョイス、ベンヤミンらの媒介者としての書店の役割を考察した。また、プラハでは、カフカとポスト・カフカの作家であるフラバルやアイヴァスといった作家のインタビューから、プラハの街の言語(民族、眼差し)の複数性を浮かび上がらせた。(カフカの小説には”固有名詞がほとんどでてこない”という指摘は、プラハという都市の複数性(多様性)から理解できる。つまり、特定の場所、民族、言語の優位性を避けたというカフカの意図であった?)

文学者の語る言葉が、不思議と文学から都市や世界、あるいは哲学を考える言葉を包含するものであるため、わたしのような専門外のものが聞いていても、示唆に富む言葉、表現が多い。また、彼らの言葉が、実は遠く離れた東京に住む人間にとって、状況は異なるが、日々大都市の中での経験とつながっていることを感じるのである。

放送大学の講義も、選択次第で大きな糧になる。

by kurarc | 2017-12-03 15:16 | archi-works