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映画『さらば、わが愛/覇王別姫』再び

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映画『さらば、わが愛/覇王別姫』の感動がおさまりきれず、再びこの映画を観た。今度は冷静に物語を追っていった。

この映画が優れているのは、一言で言えば、歴史(ここでは中国現代史)と人間がよく描かれていることである。その人間も、男と男の友情から裏切り(造反)、男と男、男と女の愛に至るまで人間とその運命、暗部をえぐり出している。

この映画を観終わった時に感じたのは、溝口健二監督の『西鶴一代女』を観終わった時の感覚に近いということ。どちらとも人間の悲劇を容赦なく描ききっている点が共通していることと、映画の構成がラストシーンを導入部に持ってきていることも共通している。チェン・カイコー監督は溝口から影響を受けているのかもしれない。

わたしが最も気になったのは、ラストシーン。チャン・ティエイー(レスリー・チャン)がなぜ自死を選んだのか、ということである。一つは、京劇「覇王別姫」を現実の物語として生きてしまったチャン・ティエイーは、その京劇の物語と同様死を選んだ、つまりトァン・シャオロウへの愛を永遠とするため、とみる見方。もう一つは、トァン・シャオロウの裏切りに対する報復としての死、という見方である。

わたしはこの二つのどちらでもなく、どちらでもあると思わせるラストシーンに感嘆したのである。このラストシーンをどのようにとるのかは観るものの感性に委ねられるしかない。それにしても、あまりにも激しく悲しい映画である。



by kurarc | 2017-12-11 20:48